被害者A
中川×先輩。525円分献上品 10行。




ああ、と深い溜息をつきながら、中川は手のひらを見つめる。
べったりと濡れているのは汗ではなくて、放出したばかりの自分のもの。
何度こんなふうに、自分を慰めたかわからない。

あの体を思えば思うほど、腹の中が熱くなって、血があつまりたぎってゆく。


太い指、灼けて汗ばんだ首筋、暴力的な眼。すえた雄の匂いを獣のようにふりまいて、あの人は僕を誘う。
何もかも手に入れて、欲しいものなどないと思っていたのに。


「ああ…………先輩…………」


名を口にするだけで、ねじれ歪んだ欲望が熱くなり、穂先からしたたり落ちる。
ともに落ちてと懇願しようか、それともいっそ犯して殺そうか。この均衡はいつまで保つのだろう?



今あなたに会うのがとても怖い。愛しさと嗜虐のこころが押さえきれないだろうから。

以上、出勤前の中川(笑)。


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